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DOリアス・バイシャス(Rías Baixas)

DO リアス・バイシャス

DOリアス・バイシャスはスペイン北西部のガリシア地方に位置します。雨が多く緑豊かなこの地域はグリーンスペインと呼ばれています。ガリシア州最大のDOで、2021年の生産量は約28万ヘクトリットルにも及びました。DOのブドウ畑は4,300ヘクタール強で、約5,000人のブドウ栽培農家が栽培しています。小規模生産者から大規模生産者まで、約180のワイナリーがあり、協同組合が主流です。

この産地はスペイン屈指の白ワインの銘醸地として知られています。土着の白ブドウ品種であるアルバリーニョの栽培面積はブドウ畑の95%以上を占め、リアス・バイシャスはまさにアルバリーニョ王国と言えます。

リアス・バイシャスのテロワール

大西洋の影響を強く受けるこの地域は海洋性気候で、夏と冬の寒暖差は穏やかです。冷涼で雨に恵まれたこの地域では雨は年間を通して降り、年間降水量は高く平均1,700mmです。土壌は砂質土壌で水はけがよく、雨の多い地域でも根が水に浸からないようにするのに役立っています。雨による病害虫を予防するために通気性の良い棚仕立てによるブドウ栽培がおこなわれています。リアス・バイシャス全域で花崗岩を主成分とする酸性下層土が見られます。

リアス・バイシャス 5つのサブゾーン

5つのサブゾーン

DOとしては珍しく、リアス・バイシャスは5つサブゾーンで構成されています。その中でもVal do Salnés(バル・ド・サルネス)、O Rosal(オ・ロサル)、Condado do Tea(コンダード・ド・テア)は特に重要な地域です。

Val do Salnés(バル・ド・サルネス)
最も古いサブゾーンで、最大の栽培面積とワイナリーの密度を誇ります。海岸線に直接面しているため最も涼しく湿潤な地域であり、一般的に最も酸味の強いワインを生産しています。

O Rosal(オ・ロサル)
ミニョ川が海に注ぐ場所に位置します。
この地域ではアルバリーニョ、, ロウレイラ, トレイシャドゥーラカイーニョ・ブランコをブレンドしたワインが多く造られています。

Val do Salnés(バル・ド・サルネス)
より温暖な気候により酸度はやや低く、ワインの特徴はブレンドによって左右されます。

Condado do Tea(コンダード・ド・テア)
O Rosal(オ・ロサル)の内陸に位置するためさらに温暖な気候です。
この地域では河川によって気温が調整され、桃の豊かなアロマを持つ酸味がやや控えめな熟したスタイルのワインを多く生産しています。

Ribeira do Ulla(リベイラ・ドゥ・ウリャ)
最も新しいサブゾーンで、低~中価格帯のワインが中心。

Soutomaior(ソウトマヨール)
最小のサブゾーンです。

栽培と醸造

栽培では棚仕立て(現地ではparral パラルと呼ばれる)が依然として主流です。この仕立て方は比較的高い位置に樹勢を誘導することで通気を良くし、病害虫のリスクを低減します。現在では品質向上の観点から垣根仕立てを採用する生産者も増えています。
ワイン醸造は一般的にフレッシュな果実の風味を保持するために空気に触れさせない嫌気的な手法で行われます。

また、ワインに風味やテクスチャーを与えるために一部の生産者は数時間の果皮浸漬を行ないます。醗酵はステンレス製のタンクにて低温で行われ、一部の冷涼な地域(または冷涼な年)では酸味を和らげるためにマロラクティック発酵を施す場合もあります。

パラル
栽培では棚仕立てparral パラル
ステンレスタンク
醗酵はステンレス製のタンク

ワインの特徴

一般的にリアス・バイシャスの白ワインは酸味が強く、ミディアム(-)またはミディアムボディ、中程度のアルコール度数で、桃、メロン、レモンの香りと風味が特徴です。品質は良質なものから非常に良質なものまで幅広く、傑出したワインも造られています。

低価格帯のワインは早飲み用として早期にリリースされます。高価格帯のワインはしばしば澱の上で熟成され、より複雑でまろやかなスタイルで造られます。この澱の上での熟成は「ソブレ・リアス」(フランス語ではシュール・リー)と呼ばれ1~2年施されることが一般的ですが、傑出したワインではその期間が6年にも及ぶ場合があります。一部の生産者は最高級ワインをオーク樽で発酵させます。オーク樽の使用法は、単にテクスチャーを与えるための大型の古樽から、トースト香やバニラ香をもたらす新樽を一定割合加える方法まで様々です。

リアス・バイシャスとワインの歴史

ローマ人によるワイン造り

リアス・バイシャスはガリシア地方の他の地域と同様に、古代からの遺産を共有しています。2500年前、ガッラエキGallaeci)族と呼ばれるケルト人部族がこの険しい海岸線に定住し、言語、自然信仰の祭事、バグパイプ(bagpipes:民族楽器)といった豊かな文化的要素をもたらし今日まで残しました。また、ガリシア州ア・グアルダ(A Guarda)の サンタ・トレガ(Santa Trega)にある壮麗な石造住居群など、数多くの考古学遺跡も保存されています。この地で最初にワインの生産を始めたのはローマ人でした。彼らはケルト人を征服し、ブドウ栽培と国際貿易を定着させました。サンティアゴ巡礼路( El Camino de Santiago)は中世に重要な巡礼路として初めて現れて以来、巡礼者たちをリアス・バイシャスのすぐ北に位置する州都サンティアゴ・デ・コンポステーラのサンティアゴ大聖堂へと導き続けています。

石造住居群
バグパイプ

現代ワイン造りの幕開け

現代のワイン醸造時代は1980年、アルバリーニョ品種専門の公式原産地呼称「La Denominación Específica Albariño」が創設されたことで幕を開けました。1988年、スペインの欧州連合(EU)加盟後、単一品種による地域呼称を認めないEUワイン法に準拠しこの呼称は「原産地呼称(DO)リアス・バイシャス」に改称されました。

19世紀後半にスペインを襲ったフィロキセラ(アブラムシの一種)により、ブドウ畑の多くはフィロキセラに耐性のあるハイブリッド種や高収量のパロミノ種に植え替えられました。多くのブドウ園は小さな区画で構成され、ワイン生産者は多数の小規模なブドウ栽培者からブドウを購入していました。この小規模ブドウ栽培という体制は今日でもこの地域全体で続いています。

世界のアルバリーニョへの躍進

1970年代と1980年代には、在来種の栽培とワイナリー設備の近代化へのインセンティブが高まり、ワインの品質が大幅に向上しました。フレッシュでフルーティーで手頃な価格で購入できる良質なリアス・バイシャスのワインは、まずはスペインで、そして後に国際市場で急速に人気を博しました。

2000年から2020年にかけて輸出用ワインの割合が10%から25%へと飛躍的に上昇し、「地元のワイン」から始まったアルバリーニョは今や世界を代表する白ワインとして高い評価を得ています。アルバリーニョはその魅力的で唯一無二の味わいから世界中の人々を魅了し続けています。

アルバリーニョ アルバリーニョ

「スター誕生」を祝う8月1日

毎年8月の第1週、リアス・バイシャス ワイン産地の中核であるガリシア州カンバードス村で「Fiesta do Albariño(アルバリーニョ祭)」が開催されます。祭りは8月1日の「世界アルバリーニョの日」に幕を開け、数千人がワインの試飲会、ロックコンサート、ストリートエンターテイメント、伝統芸能、野外パーティーなどを通じてこの地の「スター品種」を祝います。ワイナリー各社が誇りを込めて最高級ワインを開ける瞬間、祭りは最高潮の輝きを放ちます。この小さな海岸の町が色彩と歓喜で満たされる一週間です。

 

【参考資料】

地図:IDEE (Infraestructura de Datos Espaciales de España) / © All text and images are copyright FreeCountryMaps.com / Wikimedia Commons

その他画像:panavac / 各取引メーカー及びDO